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【学生広報アンバサダー】博物館・美術館巡り@城西大学水田美術館

こんにちは!
新しく学生広報アンバサダーになりました、文学部1年の長屋佳奈です!
よろしくお願いします🙌

今回ご紹介させていただくのは
城西大学水田美術館です。
水田美術館は、城西大学の創立者である水田三喜男さんが生前に集めた浮世絵のコレクションを基にして、2011年12月に図書館から独立して、正門近くにリニューアルオープンしました。
今回、私が水田美術館を訪れた時、所蔵品紹介「 浮世絵で巡る秩父札所-《観音霊験記 秩父順礼》-」 、収蔵品紹介「パッケージ小噺 壱ノ巻-観光たばこにみる懐かしの日本-」いう展覧会が行われていました(会期:2024年9月17日(火)から10月11日(金)まで)。

浮世絵で巡る秩父札所《観音霊験記 秩父順礼》

入口を抜けて左側の展示室に向かうと、沢山の浮世絵を見ることができます!!
展示室に入って直ぐ、物凄い形相の鬼女の姿に目を奪われました…

観音霊験記 秩父順礼 二拾五番
久那 岩谷山 久昌寺 奥野の鬼女

鬼女は娘を産み、娘が15歳の時、上の写真の絵にあるように、これまでの悪行のために祟り死んでしまいます。娘は母が後世で苦しまないように村人の協力を得て観音堂を建て、弔ったそうです。
右側の鬼女の顔に恐ろしさを感じます。片手で持っている物は娘でしょうか。鬼女は、死後、地獄に堕ちるとされていたほどに悪行を重ねていたとされますが、絵を見る限り綺麗な着物を着せている所で、娘を大事に思っていたのかな、と考えました。また、悪行をする鬼女の娘を他の誰かが代わりに育てたとも思えず、母親は自らが死ぬまで娘を15歳になるまで育て上げたのかなと思いました。

観音霊験記 秩父順礼 廿二番
童堂 西陽山 永福寺 讃州の人化犬

さて、こちらの絵は、讃州(現在の香川県)に居たとされる農家の息子が犬となったことを表しています。とある旅の僧が食料をこの農家に求めたところ、強欲な農家は僧の頼みを断りました。すると僧によって息子は犬に変えられてしまいます。父が息子を連れて秩父に入り、童子堂で祈念したところ、息子は37日後に元の姿に戻ったそうです。
犬の顔面を少し怖いと思うほど、犬の本来の愛らしい要素がこの絵の中では削られていて少し悲しかったです😢

観音霊験記 秩父順礼 第七番
牛伏 青苔山法長寺 花園左衛門督長臣某

この絵に描かれている女性たちは、花薗左衛門の家臣である某(なにがし)の妻子です。某は悪心から平将門の乱に参加し、乱が沈められた後に亡くなります。赤い、艶やかな着物をまとった女性が乗っている子牛は、某の生まれ変わりとされ、観音を供養することで成仏ができると言いました。妻子は尼となって祈ると、聖衆に生まれ変わったそうです。
こちらはサムネイルに利用させて頂きました。艶やかな着物が素敵な作品で、よく見ると縄の継ぎ目まで細かく描かれており、細部の描き込み具合に驚かされます。

観音霊験記 秩父順礼 第三番
岩本山常泉寺 子持石 不睡石 長命水

飲むと万病に効くとされる長命水の井戸や、祈ると目の病気が良くなるという不睡石、抱くと元気な子供が産まれてくるという子持ち石など、この絵一つに沢山の癒しの願いが込められていて、元気になれそうです。
今紹介したものは一体どこにあるんだ?と思った方がいらっしゃると思います。これから説明させていただきます。
なんと、この絵から女性が座る岩を不睡石に、流れている川を長命水に、幼子を背負う武士を子持ち岩に見立てていると考えることができるのです。
波の描き方が特徴的で、激しい水の流れを感じられます。

パッケージ小噺 壱ノ巻-観光たばこにみる懐かしの日本-

入口を抜けてまっすぐ進むと、
元城西大学の職員の加藤寛之さんが収集された、1970年代から80年代にかけてつくられた観光たばこが数多く展示されているのを見ることができます。

見る者を圧倒させる沢山の観光たばこのパッケージ
47都道府県の観光たばこのパッケージが
展示されている
お祭りを宣伝する観光たばこが見られる

こちらのお祭りを宣伝する観光たばこのパッケージには女性が写っていません。これは、お祭りは男の人が参加するものだという、観光たばこが発売された当時の価値観が表れています。文字には表れない、人々の考えや価値観が観光たばこをじっくり見ていくと、分かってきます。

おわりに

沢山の浮世絵を見てきて、綺麗な景色と共に、絵に込められた作者の意図や物語、浮世絵が作られた背景を知ることができて良かったです。展示品を見終えた時には、秩父に実際に行って、景色を見たくなっていました。

また、沢山の観光たばこを見て、ただ美しい、綺麗だと思うだけではなく、パッケージに見られないものに注目したり、当時の人々がなぜこのデザインに決めたのか、そこにはどのような価値観が含まれているのかを考えたりすることで、私自身の展示品に対する見方が変わりました。観光たばこのパッケージそれぞれに、作り手の考える地域の魅力が詰まっており、一つ一つ見るたびに「ここに行ってみたいなあ…」という思いが募りました。たばこがあまり推奨されていない現代を生きている私からすると、観光たばこの味の良さや健康への悪影響が少ないことを宣伝材料にしたり、害の表記が小さかったりする点に驚かされました。

館内の情報は、こちらからご覧ください↓↓↓