【座談会】神田学生街に商う①
座談会出席者
・石澤長一郎氏(一九三五年生まれ 一九五八年商学部卒
有限会社石澤眼鏡店代表取締役社長)
・纐纈 公夫氏(一九三九年生まれ 一九六二年経営学部卒
大屋書房三代目店主)
・稲垣 秀明氏(一九五一年生まれ 一九七三年法学部卒
有限会社水戸興産代表取締役)
・校條 真氏(一九六〇年生まれ 一九八四年政治経済学部卒
株式会社 風讃社企画編集部ディレクター、
「ナビブラ神保町」編集長)
・船曵 竜平氏(一九八九年生まれ 二〇一四年商学部卒
大和屋履物店五 代目店主)
聞き手 大学史資料センター
それぞれの〈商い〉の現在
──今回、神田学生街で古くからご商売をされている皆様にご出席をいただきました。最初に現在の〈商い〉についてご紹介をいただきたいと思います。
石澤長一郎(以下石澤) JR御茶ノ水駅近くの明大通りにある「石澤眼鏡店」を本店に、新宿店・荻窪店・練馬高野台店の営業をしております。各大学病院眼科指定店として信頼・信用・親切・丁寧をモットーとし、本年で
創業八六年となります。販売商品例といたしましては、一般の眼鏡に加え、弱視眼鏡・遮光眼鏡・拡大読書器・ルーペ各種・コンタクトレンズなどです。
創業からさまざまな時代の変化もありまして、昨今では三歳児健診などの幼児健診が行われるようになり、かつてに比べて眼の発達を早期に確認できるようになりました。昨年は御茶ノ水駅前の私どもの店舗を、七階建てのビルに建て替える節目の年にもなりました。
纐纈公夫(以下纐纈) 私の営んでいる大屋書房をひらたくいえば古本屋です。専門が江戸時代の古書と浮世絵版画、そして古地図が専門でございます。神保町の古書店の中では毛色の変った仕事をしております。扱っている資料を明治大学博物館にも、図書館にもだいぶ納めております。我々の仕事は継続性が大切です。博物館にしても図書館にしても、それぞれが重要と考えている資料を順次増やしていくことが大切であるとのことなので、我々もその点で貢献したいと思っています。
稲垣秀明(以下稲垣) 私の仕事は、神田神保町二丁目靖国通り沿いで「水戸興産」という不動産業を営んでいます。不動産の売買賃貸および管理、建築企画、各種コンサルタント等を行っております。会社は地元の人に愛され、昨年で六〇周年を迎えました。また九段下から須田町までの 一・八キロメートル両側にわたり一四商店会(四○○社)が集まる「靖国通り商店街連合会」の会長、そして地元の「北神町会」の副町会長を仰せつかっております。
これらの編集・制作にあたったことで地元の多くの方々と知り合うことが出来ました。大学を卒業してから神保町界隈で仕事ができることを大変ありがたく思っています。
船曵竜平(以下船曵) 私は一八八四年創業の神保町三丁目にある「大和屋履物店」という、いわゆる下駄屋の五代目店主をしています。私はまだ大学を卒業してから一〇年も経ってないのですが、縁あって妻の実家である履物店の跡継ぎとして二〇二一年から働いております。同年、店はリニューアルをいたしました。私はそれまで住友生命に勤務しているサラリーマンでした。「履物屋を続け、日本の文化を守りたい」という先代をはじめとする家族の思いに気持ちを強く動かされ、私が跡を継ぐことにして、仕事を辞めて店に入りました。
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