【座談会】 神田学生街に暮らす⑥
明治大学卒業後の進路について
──明治大学ご卒業後の進路についてお話しいただけますでしょうか。
渡邉 私は大学を卒業後、ホテルニューオータニに就職して資材部の購買課に勤務していました。
総務課に明治大学卒業生の方がいて、事務所が隣で懇意にしていました。実は大山さんがその方と同級生とあとで聞きびっくりしました。これも大学がつないだ人の縁と思いますね。当時は総務課長も明治出身で要所要所に明治大学出身の方がいた感じです。
鈴木 私は最初あまり積極的に家を継ごうという意志があったわけではないのですが、周りが継ぐのが当然と決めています。あの頃はそういう時代でした。問答無用でね、他に行ってもいいけどすぐ帰って来いって。
大山 そうですよね、私の夫だって他へ行きたかったと思いますよ。
──渡邉さんは、家業を継いでほしいという周囲の期待のようなものはなかったのですか。
渡邉 私も最初家業を継ぐことに抵抗がありましたが、親が洋服関係の仕事から飲食関係に変わって苦労していた姿を見ていたので、力を貸さなきゃいけないのかなと思い直して、四年ほどニューオータニで勤務したあと、そこで覚えたサービス業のノウハウを活かして家を継ぐことにしました。それからも明治の関係の方々にはお世話になっています。
大山 私は卒業後近所の子供を集めて自宅で塾をやっていました。学生時代教職課程をとっていたので、教員になろうかと考えたこともありましたし、一方でものを書いたりするマスコミ関係の仕事に就くことも頭にはありました。塾は結婚するまで続けました。結婚するとき、偶然ながら夫も明治だし、生活環境も当時越していた新橋と神田ではなんとなく同じような感じで違和感はありませんでした。
私は明治大学の四年間の経験でよかったと思ったのは、社会に出てからも相手が男性だからどうという意識を持たないで済んだことですね。今でもクラス、ゼミ、クラブの卒業生のOBと交流があることです。