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街がキャンパス!神田学生街で学ぶ③ー明治大学小林尚朗ゼミナール・大森正之ゼミナール・島田剛ゼミナールの取組みから

日頃の指導やゼミナール活動について

大森ゼミナール

──ゼミ活動についてそれぞれご紹介をいただければと思います。

大森 1・2年の教養ゼミナールでは主として座学で古典や新書を読んでいたのですが、数年前に共同研究をしたいと学生から希望があり、それから共同研究もするようになりました。3・4年レベルまでは行かないのですがなかなか良い内容でびっくりしています。ただ1・2年ですとまだまだ優しくて接していまして、3・4年になりますといわゆる「ガチゼミ」として、ストロングスタイルのゼミを貫いています。3年生の最終目標は毎年12月に東京ビッグサイトで開催されるエコプロ(日経新聞主催の旧称エコプロダクツ展)です。ここで研究成果を社会に発信します。内容を恥ずかしくないものとするため、プレゼンテーション、パネルや論文などかなりガチガチに指導します。厳しいのは、学生向けではなく、社会人に向けて環境経済学の学びの成果を提示し批判を受けることを目標にしているからでもあります。

毎年いくつかのグループワークをやっておりまして、たとえば大塚さんたちは、廃プラスチック問題がだいぶ注目されていましたので、容器(パッケージ)の環境配慮について提案をしてもらいました。最近少し嬉しかったのは、亀戸駅の自動販売機を見たら飲料サンプルが1列3段で並んでいるのですが、そのうちの1列すべてが紙容器の飲料になっていたことです。思わず大塚さんに、自動販売機の三分の一が提案通り紙製になっていたよと電話をしました。そういう意味では非常に実践的な研究なんですね。ただ理論もバチバチにやります。

ゼミでは遊びも結構組み込んでいます。毎年1-2回釣りに行って、釣果を食べるようなこともします。レンタルキッチンを借りて料理を作るんですが、料理の上手いゼミ生がいたります。佐藤さんなんて非常に料理が上手ですよ。

視察にもよく行きます。環境と経済の接点の耕作放棄地とか、太陽光発電農業を一緒に組み合わせるソーラーシェアリングの現場だったりとか、私よりも学生の方が最先端情報を欲しているので、意識してそういったところに行くようにしています。

4年になると卒論もあり、少人数ということもあってなかなかゼミは忙しいのですが、皆面白いテーマに取り組んでやってくれます。大塚さんの養蜂の研究は面白かったですね。想定以上にドライブがかかっていて、知識の集積と総括が止まらない感じでしたよ。

3年生はRE100(企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ)などをなぜ企業が受け入れているのか、あるいは受け入れていないのか、について企業にアンケートを取ったり、あるいは直接論ズームで論じ合ったりしながら、かなり高度な、大学院の初年時程度の研究内容を目指してゼミをやっています。

大塚 1、2年の教養ゼミと3、4年のゼミの活動は別々のものとなります。また養蜂活動は大森先生の主導ではじまった課外活動です。3、4年ゼミも養蜂とは別に本来の活動がありますのでその点についてご説明します。大森ゼミでは一つのプロジェクトを引き継いでやっていくという形ではなく、毎年3年生は少人数の班に分かれてテーマを自分たちで決め、共同論文を執筆します。4年になると一人一人でテーマを決めて個々に論文を書きます。1年1年完結させる必要があるので結構大変だと思っています。

大森ゼミのインビテーション

3年生の例年の共同研究は、企業や自治体が環境問題にどう取り組んでいるのか、どうすべきなのかという点に焦点を当てていることが多いです。ゼミは少人数なこともあり、先生のご指導はひとりひとりにかなりお時間を割いていただいています。とくに卒業論文の指導では相当きめ細やかで厳しいご指導をいただいています。

また先生は地域とのつながりや対外的な交流を大切にしておられます。先生が積極的に縁をつなぐ形でアクティブに輪が広がっています。

指導と課外活動の両方に対してうまくついていくのがなかなか大変ではあるのですが、ゼミ活動を充実したものにしたいと思ってこれまでやってきました。

──ガチゼミの一端を窺えた感じがしました。

大塚 ガチゼミと一番おっしゃっているのは先生です。

大森 残念なんですが政治経済学部だと、卒業論文を書く前に就職が決まるとゼミを辞めてしまう学生がいま多いんです。卒論を書かなくても単位さえ揃えば卒業できてしまいますからね。私はサラリーマンを8年程経験していたこともあるので、卒論の重要性が皮膚感覚でわかっているところもあります。論文を書く経験をしないまま卒業してしまうと、社会に出てもイニシアティブをとって仕事できないよ、という思いで論文指導をしています。厳しすぎて申し訳ない、というところもありますが。

大塚 先生は、私たちが企業の中で生き抜くためを思って、日頃指導をしてくださっているのを肌に感じています。

──学生時代論文を書く経験が社会に出ても非常に役に立つというのは、大和屋履物店で明治大学OBの船曵竜平さん(座談会「神田学生街で商う」参照)も常々お考えだそうですね。船曵さんも学生時代ゼミで毎年論文を書いていて、それが社会に出たときに役立った、という思いが非常に強くあるそうです。

佐藤 日頃大森先生は、厳しいながら学生にも大変フェアに接してくださいます。こういう根拠でこのような考えをしました、とちゃんと説明をするとそれを受け止めてくださる。それが間違っていた場合は、建設的な話し合いをしてくださいます。先生は、時には厳しいこともおっしゃいますが、そのやり取りも含め楽しく学べています。普段のゼミは4年生とは別々のコマでやっていて、ゼミで意見交換するようなことはないですが、論文の完成が近づいてくると、4年生の方々に内容をチェックしていただきます。たとえば私はスコープ3(サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量のうち、製造・輸送・出張・通勤等を通して間接的に排出するもの)について結論で触れておいたほうがいいんじゃない、といったアドバイスを受けることができました。

大森 4年生が、就活が終わった段階で、就活や論文の書き方などのノウハウを伝授する会があるんですね。そういったところで上下の継承が行われます。

大塚 ほかにとくに接点となるのはやはり養蜂活動ですね。

次回は島田ゼミナールの「日頃の指導や活動について」お聞きします。
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