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街がキャンパス!神田学生街で学ぶ④ー明治大学小林尚朗ゼミナール・大森正之ゼミナール・島田剛ゼミナールの取組みから

日頃の指導やゼミナール活動について

島田ゼミナール

──ゼミ活動についてそれぞれご紹介をいただければと思います。

島田 私は明治大学に来てから4年目なので、今の学生が3、4期生ということになり、比較的新しいゼミです。最初は人数が少なかったので、昨年までは3、4年生一緒にゼミをやっていました。ただ、2021年度はだいぶ人数が増えまして、3期生が13人、4期生が20人ということで今年から3、4年生をわけてゼミをやっています。来年は21人がゼミに入ってくる予定です。人数が多いということで、どうやってまとめていくか、ということが難しいです。とくに中山さんたち3期生たちは入ってすぐコロナがはじまって、オンラインでやっていたので、すごくお互いに気を遣って遠慮しているな、という感じがしていました。そこで、全員で一緒に取り組めることをやろうということからコーヒーを作ることに取り組み始めました。

中山 もともと2期生の先輩方が神保町にフォーカスしたテーマを企画されていたんですが、コロナで神保町に行けない。ではどうしようか、ということで先生と自分たちで、どういうものを成果物にするか考えるところからはじまりました。毎年成果物は異なります。今回はたまたまご縁やご協力があって3、4期ともコーヒーを開発できました。SDGsとコーヒーは非常に関係があります。例えば貧困、ジェンダー、自然環境に至るまで関わりが深いものです。とくに私たちの代のSDGsコーヒーはSDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」と10「人や国の不平等をなくそう」にフォーカスしたものになっています。SDGsコーヒーのコーヒー豆はコロンビアのフェダール農園で生産されているのですが、ここでは障がい者の方々が就学、就労をされています。コロンビアでは障がい者が働く場所がなく、家に籠らせるというのが一般的だったのですが、”当たり前”の生活を送れるようにするということをこの農場では実現しています。また、生産者の方々ご自身も、障がい者が作ったコーヒーだから買ってもらうのではなく、美味しい豆だから買ってもらいたいと語っており、働き甲斐があることがわかります。このような農園や私たちの「知る」「選択する」という実践が結果的にSDGsの17のゴールを達成すると考えています。コーヒーの生産国は発展途上国が、消費国は先進国が多いです。コーヒーの価格はニューヨークの市場で決まっています。先進国だからこそできることもあると思っています。アンフェアな取引があるから、その対概念であるフェアトレードという言葉が存在するわけです。先進国が適正価格で取引することによって、アンフェアな取引が消滅し、フェアトレードという言葉もなくなることが最終的な目標になるのではないかと思っています。

フードロス削減を目指し島田ゼミが参加した「1/3のパン屋さん」イベントでのSDGsコーヒーの販売(2021年10月16日)。なおコーヒーは当日の特別価格。

コロナ禍でこういう実践的なことに取組むゼミであることもあって、蓄積がなく、最初は先生の質問に対する答えが出ない状況でした。そこで私が答えを引き出す役になって議論を回すようなことをしたりもしました。そしてコロナ禍続くなかではありましたが対面でゼミを開けるようになって、ようやくという形になるまでは、苦労も多かったです。

島田ゼミの1、2年生は、海外に興味はあるが海外に行った経験はない学生が多いので、島田先生は、こういうところを見ると海外がわかる、たとえば下水道などの水を見るとその国の発展がわかるといった、プロフェッショナルだからこその見方や考え方を教えてくださいました。

コーヒー製品を開発する企画では、学生が中心になって議論を進めました。そのなかでなんとなく答えのようなものが出てきたときに、本当にこれで合っているか、例えばフェアという概念とはそもそもなんだろう、といった疑問や新たな気づきを与えるようなご指導を頂きました。一貫していかにして自分で考えて行動するか、というご指導でした。よく先生からいただいていた言葉がWhat’s new ?です。つまり既存のもの、考えではなく、君が見つけた新しいことはなんだ、ということですね。いまだに答えが見つかっていないんですが、ライフワークとして発見していきたいなと考えています。

曾我 いま3年生は20名、幹部3名の体制でやっています。4年生の代では、コロナによるコミュニケーションの問題が、商品開発の障害になったと聞いていましたが、私たちはありがたいことに最初から対面でゼミができています。幹部では20人のメンバーが同じ方向を向いて、なぜこの商品を開発するのかを常に見いだせるような環境づくりに非常にこだわりました。そのためコンセプト設計には半年以上費やしました。またチーム分けも企画、広報、デザイン、ディベート等にわけて行い、私たち幹部はプロジェクトマネージャーのような役割を担って、納期と組織の選択に関して調整を行い議論に加わるといった形で活動していました。

 また私も中山さんと同じく1年からゼミに参加していて、2年生の途中から神保町のまちづくりに携わる取組みをして今に至っています。SDGsの達成に向けた問題意識を引き継ぎながら、上の代よりさらに神保町に特化した形で、まちづくりに学生たちがどのように関わっていくことができるのかを突き詰めて取組みを進めていきたいと思っています。

 先生のご指導に関していいますと、ただの商品販売になるのではなくて、SDGsという観点はもちろんのこと、顧客、神保町への提供価値の明確化を始めとするビジネスの視点から多くのアドバイスをいただいています。

次回は「街がキャンパス―街と共同したゼミナールの取り組み」についてお聞きします。
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