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街がキャンパス!神田学生街で学ぶ⑦ー明治大学小林尚朗ゼミナール・大森正之ゼミナール・島田剛ゼミナールの取組みから

取り組みを通して得られたこと・今後の取組みに向けて

──最後に、先生方からは今後の取組みの展開について一言いただいて、学生の皆さんからはゼミの活動を通して成長できた点についてコメントをいただきたいと思います。


島田 中山さんはじめ4年生は社会に出ていきますが、コーヒープロジェクトの経験が活きて、鮭が川から海に出てまた故郷の川に帰ってくるように、神保町が自分の故郷のようになってもらえるとうれしいです。メンバーが神保町を好きになり、この街に帰ってきたいと思ってもらえるような関係を街と築いていければと思っています。

中山 島田先生は「できない」とは決しておっしゃらず、どうすればできるかを考えるように導いてくださいました。1年生の初めてのゼミで先生にご指導いただいたことが今でも常に頭にあります。それは、「目標から逆算すること」です。4年間を通してアドバイスを実践し、考える力がとても身についたなと感じています。


曾我 まだ漠然としているところもあるんですが、SDGsを達成することと、ビジネス通して商品を販売することを両立する難しさを知ることができました。これが大きな学びにあったところだと思っています。それは私のこれからの就職活動にもとても影響を与えることになると思います。企業のホームページを見ると、SDGsでこんな取組みをしていますとカラフルに紹介しています。ただどういう課題に着目して、事業を通してどのように変えたのか、インパクト評価が明確化されていない企業が多いです。就活中の面接で企業側にどのような取組みをされたのか尋ねても、紙を使うのをやめました、程度のことしか言っていただけないと残念な気持ちになってしまいます。

こういう視点を持てたのはこのゼミの学びや商品開発の取組みがあったからです。これからも学びを続けていきたいと思います。


大森 千代田エコシステム推進協議会の会合で、あえて大きな夢を語らないといけないと思って、こんなことを言ったことがあります。すなわち、3重の緑の輪で千代田区を囲むというプランです。皇居の周りをランナーが走っていますよね。皇居の外側の街路樹を充実させて、夏暑くても快適に走れるようにしたらどうか、と。皇居周辺に加えてさらに2つ緑の輪を作る考えです。とちの木通りなどを含む神田川に沿った道路を1番大きな緑の輪の一部にして、もう1つ内側に輪を作る。こんな形で街路樹を充実させたら、と思います。

もちろん街路樹はハチミツが取れる木にする。このようにして、神保町を「本とハチミツの街」にしたいと考えています。

都市養蜂は千葉大学をはじめ取組みをしている大学がいくつかあります。将来的には「都市養蜂学生リーグ」みたいな連携ができても良いですね。海外の都市養蜂をしている大学とネットワークができたら楽しいかな、と夢想しているところです。

島田 海外でもJICAの支援事業でハチミツをやっているところが非常に多いですよね。

大森 大学間でぜひやってみたいですね。

大塚 養蜂活動で成長した点は2点挙げられます。1点目は身近でありながら見過ごしてきたものが前より見えるようになってきたところです。これまで蜂はもとより虫にもとくに興味を持たなかったんですが、蜂の生態の奥深さを学び、さらに街路樹にも目がいくようになりました。これまで歩いて目にしながら、ないものにしてきたものが、それぞれ生きているし、また誰かが考えて植えたり作ったりしたものなんだな、と思うようになりました。もう1つは縁とは身の回りに転がっているものなんだ、と気づいたことです。ちゃんと拾いに行けば相乗効果も生まれるし、人生における新たな活動にもつながっていく。自分が動けば物事も動くということがわかってきました。それが卒論を書くにあたってのインタビューなどに反映されたと思います。

佐藤 ゼミではいままでアクセス可能だと思っていなかった情報へのアクセスが可能であるということを知ることができました。最初は、学生風情が企業に連絡を取って情報を聞き出そうというのは無茶ではないか、という認識がありました。

しかし共同研究で企業40社に質問のメールを送ったところ、そのうちの10社ほどは快く質問に答えてくださいました。なかにはわざわざZoomミーティングを設定してくださる企業もあって、意外と企業は学生にも耳を傾けてくれるんだということと、新聞やネットの情報だけから知ることだけではないんだということが大きな学びとなりました。

小林 具体的なことと漠然としたことをお話します。具体的なことですが、先程此上さんが話してくれたまちチョコのデザイン募集では、それこそ小学生から年配の方まで送ってきてくれました。そのデザイン募集を、もっとキャンパス周辺のいろいろ場所と協力してできたらなと思いました。小学生部門、学生部門などにわけて募集をし、それを地元の人に選んでもらったらどうかとも思っています。

もう1つは漠然とした話なんですが、この周辺で面白いことをしている企業やお店はまだまだたくさんあります。これらの企業やお店とコミュニケーションをとって、お話を聞く機会をどんどん作っていけたらなと思います。先程島田先生から学生が卒業後も街に戻るようになってほしいというお話がありました。私も本当にそう思います。この街から学ぶ機会を作れたらと強く思っています。

あと、こういう集まってお話しする機会や場というのが貴重ですね。大森先生は研究室が近いこともあって、かねてお付き合いがありました。大森先生は本当にすごい方で、こんな人はおられませんかとお尋ねすると、必ずご返事が返ってきて「同級生でこういう人がいるよ。こうすれば?」といったことを必ず教えてくださいます。

島田先生は、日頃のご研究や活動についてよく存じ上げていましたし、学生同士の交流もあるのですが、私がお目にかかるのははじめてです。

こういった取組みに関する学内の連携・情報交換ができるプラットフォームがあれば、相乗効果が高まると思いますし、イチからやらないといけないと思うことが、3くらいからはじめられて、学生たちも学生であるうちにいろいろなことができるチャンスが増えるのではないかと思いました。

小八木 ゼミの活動を通して、ありきたりではあるんですがものの見方が変わったなという思いがあります。いろいろなゼミ生と一緒にいろいろなものを見てきたからこそ、1つの視点に縛られない、よくも悪くもこれまで自分が見てこなかったものが見えてきたというのが、ゼミ活動を振り返っての大きな成果だと思っています。

私はとても服が好きで、卒論も服やファッションについて書きました。このゼミで学ばなかったら、ユニクロの服を見てもああ安いな、くらいにしか感じなかったんでしょうが、自分が学んだことを踏まえると、なぜ安いのかとか、どこで生産しているんだろうとか、この企業やアパレルブランドの売りはなんだろうとか、これまで見えてこなかった深いところや切り口から物事が見えてくるようになったと思います。この視点はとても大事なことだと思っていて、自分が個人やチームでなにかをするとき、必ず活きてくる視点かと思いますので、これから社会人通しても自分の個性や強みを発揮できるようにしたいと思っています。

 またゼミ長を務めるなかでの成長も経験できました。コロナ禍によってキャンパスに入れなくなるといった事態になっても、それで終わりと思わずに、キャンパス以外を利用するとか、外部の方と一緒にやってみよう、と一念発起できたことは自分の成長にとって非常に大きなことだったと思います。コロナもどこまで続くかわかりませんし、予期できないトラブルというのも発生すると思うんですが、そういったときもくじけずに自分のなかでベストを尽くせれば、とゼミの経験を通して思いました。

小林 まちチョコを外で売ることを提案したのは小八木さんたちの代です。それまではまちチョコではないフェアトレードのチョコレートをキャンパス内で販売していました。ところがそれがコロナ禍で大学から販売許可が下りなくなってしまいました。そこで街に協力をいただこうじゃないか、ということで取組みをはじめたんですね。

此上 小林ゼミにはいろいろな強みを持っている人がいっぱいいて、自分に足りないものがまだまだ多くあるということを実感するきっかけになりました。ゼミでメンバーそれぞれが同じ内容のことを調べて発表する時に、テーマに対する理解度や伝えるものの量がまったく及ばないことも多かったです。とくに自分に足りないと思った話し方やスライドの作り方などを工夫して、少しは成長できたかなと思っています。

ゼミの活動を通して、表面しかみえていなかったことが、裏側の隠された事実があることに気づけるようになってきて、良い面悪い面両方の現実を知ることができるようになって、いままでの自分とは随分かわることができたのではないかと思います。

 学生の力は自分が思っているよりもまだまだあると思いますので、もっといろいろな人達を巻き込んで大きなことができたらと思います。私はMEIJI Fair Trade Clubの代表をしておりますので、明治大学をフェアトレード大学にするという目標を在学中に達成できたらと思います。

──今回小林尚朗ゼミ、大森正之ゼミ、島田剛ゼミの先生と学生の皆さんから「街をキャンパス」とした大変盛りだくさんのお話をいただきました。

こういった取組みに関する情報交換のプラットフォームを、というお話もございました。今回の座談会が、そのきっかけになればと思います。ありがとうございました。
(了)
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明治大学博物館前で記念撮影


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